この記事で紹介する『DOOM』は、CERO:Z (18歳以上対象) のゲームです。以下の文章内容、および掲載画像には、過激でグロテスクな表現が含まれています。人によっては不快感を覚える可能性がありますので、ご注意ください。
『DOOM (ドゥーム)』というゲームをご存じだろうか?
1993年に北米で発売されたPCゲームで、プレイヤーの主観視点で銃を撃つ「FPS (ファーストパーソン・シューター) 」というジャンルを確立した傑作ゲームだ。あらゆるFPSゲームの原点!と言っても過言ではない。
今でこそFPSゲームは広く普及しているが、『DOOM』発売当時は、まだ2Dゲームが主流だった時代。一人称視点で3D空間を移動して、銃撃戦を繰り広げる『DOOM』のゲーム性は、メチャクチャ画期的だったのだ。ネット対戦機能まで付いていたというから驚きである。
こうした刺激的なゲーム性が人気を博し、初代『DOOM』はアメリカを中心に大ヒット。今なお多くのファンに愛され続ける、不朽の名作ゲームとなっている。後発のFPS・オンラインゲームに与えた影響は大きく、その功績は計り知れない。
だが『DOOM』には、好ましくない問題点もあった。ゲーム中に含まれる過激な暴力表現だ。
銃で撃つと血を流しながら崩れ落ちる敵!瀕死に近づくと顔が血まみれになる主人公!無残に転がる死体の山!…といった具合に、グロテスクな演出が盛沢山だった。『モータルコンバット』に比べればマシだけど。
こうしたグロ描写は『DOOM』発売当時から非難の的とされてきた。リアリティがあって良い演出だとは思うのだが…やっぱり刺激が強すぎる!ゲームの表現描写を巡る、様々な論争を巻き起こした問題作でもあるのだ。
2016年、そんな『DOOM』がリブートされ、新生『DOOM (2016)』として甦った。美麗なグラフィックと新機軸のアクションを融合し、オリジナルの精神を継いだ現代風FPSゲームに生まれ変わったのだ。
勿論、初代『DOOM』にもあったゴア描写は健在。進化したグラフィック表現で、そりゃあもう大変なことになっている。メインビジュアルからして、ヤバそうな雰囲気がビリビリ伝わって来る。
自分は過激な暴力表現・グロテスクな演出が大の苦手だ。
たまにテレビで流れる、交通事故の衝撃映像は怖くて観られないし、スプラッター映画なんて絶対無理。痛々しいグロシーンを見ると、全身がムズ痒くなったり、血の気が引いて気分が悪くなる。たとえジョークであっても、凄惨な死体やリアルな人体破壊描写は観たくない…。
そんな感じで、とにかくR-18G表現が苦手な人間なのだが…あ…ありのまま自分の身に起こった事を話すぜ!
"グロいの苦手な自分が、あろうことかゴア表現満載の『DOOM』をプレイして、気づけば夢中になって殺戮ゲームを楽しんでいた"
セールで買ったSwitch版『DOOM (2016)』遊んでるんですけど、こんな感じです(前途多難)#DOOM pic.twitter.com/x7GC31xpDJ
— わたりどりぃ (@Wata_Ridley) 2020年8月8日
サイドステップが欲しい(切実) #NintendoSwitch pic.twitter.com/7YuAx55Nai
— わたりどりぃ (@Wata_Ridley) 2020年9月8日
いかにもボス部屋って感じだ #NintendoSwitch pic.twitter.com/gxKz2loCNV
— わたりどりぃ (@Wata_Ridley) 2020年9月14日
DOOMキャンペーン(手加減無用) ひとまずクリア。クソ最高なゲームだった... #NintendoSwitch pic.twitter.com/KvZ5D8LStv
— わたりどりぃ (@Wata_Ridley) 2020年9月29日
…な…何を言っているのか分からないと思うが、俺も何をされたのか分からなかった…(以下略)
今回の記事では、どうして自分が『DOOM』にハマったのか説明しつつ、このゲームが持つ魅力について紹介したい。思ったより間口の広いFPSゲームに感じたので参考にして欲しい。
- 新生『DOOM』は意外とグロくない?
- デーモン軍団をぶちのめせ!怒りのゲームスタート!
- 殺られる前に殺れ!血沸き肉躍るハイスピードバトル
- 広大なマップを探索!シークレットを探し出せ!
- 最高にクールでカッコイイ劇中BGM
- 混沌とした現代社会における癒し…それが『DOOM』
- グロ苦手な人にはSwitch版がオススメ
新生『DOOM』は意外とグロくない?
何故、グロ演出が苦手な自分が『DOOM』に手を出してしまったのか。
その経緯を説明するにあたっては、自分が愛してやまない『メトロイドプライム』について語る必要がある。
『メトロイドプライム』は、任天堂が手掛ける『メトロイド』派生シリーズ。主人公「サムス・アラン」の主観視点で、SF世界を舞台に冒険・戦闘を繰り広げる「FPA (ファーストパーソン・アドベンチャー) ゲーム」だ。
まるで自分がサムスと一体化したような、臨場感溢れるゲームプレイを楽しめるのが、シリーズ最大の魅力。『メトロイド』のリアルなSF世界に没入して、広大な惑星を心ゆくまで探索できる。以下の記事も参照して欲しい。
だが残念なことに、任天堂の現行ハード「Nintendo Switch」では、未だに『メトロイドプライム』新作が発売されていない。(2020年10月現在)
現在、待望のシリーズ新作『メトロイドプライム4』がSwitch向けに鋭意制作中!…なのだが、2019年初頭に開発体制が全面リセットされ、最近になってようやく開発スタッフが揃った!という状況。ゲームの完成には程遠く、まだまだ時間がかかりそうな雰囲気だ。
『プライム4』発売に先駆けて、歴代作品のSwitch移植ソフトがリリースされると嬉しいが…あまり期待はできなさそう。ネット上では、リマスター版『メトロイドプライム』発売の噂が何度も囁かれているが、結局どれもアテが外れている。噂の詳細は以下にまとめてある。
しかし自分の中では、Nintendo Switchで『メトロイドプライム』を遊びたい!という欲求が、日増しに強くなっていた。
あの刺激に満ちた主観視点のゲーム体験を、技術革新が進んだ、現行の最新ハードで味わいたい!…そういう禁断症状にも近い感情が、自分の胸の内を暴れていたのだった。
そんなとき、自分の目に留まったのが Switch版『DOOM (2016)』だった。
リアルSF風の世界観。パワードスーツを着た主人公。主観視点で繰り広げられるガンアクション…あらゆる要素が『メトロイドプライム』とよく似ていたのだ。
噂によれば、シングルプレイで『メトロイド』のような探索も楽しめるらしい。メトプラ成分を補給したい自分にとって、うってつけのタイトルに感じられた。
やはりDOOM買ってメトロイドプライム成分を補給すべきなのか
— わたりどりぃ (@Wata_Ridley) 2020年3月26日
だが記事冒頭でも述べた通り、『DOOM』は典型的な "グロゲー" である。自分にとって、このグロ表現の存在がネックだった。残酷なゲームはちょっとなぁ…。
とにかく実物を見なければ始まらない!…そう考えた自分は、意を決して『DOOM』トレイラー映像を視聴してみたのだった。鬼が出るか蛇が出るか…
…あれ?思ったよりグロくない…??
そう。意外なことに、自分は『DOOM』の暴力表現には、さほど抵抗を感じなかったのだ。
確かに血しぶき・肉片が飛び散るような、過激なゴア描写は沢山ある。しかし…どこか現実味の無い演出で、痛々しさが感じられず不快感が少ない。
そして何よりも、最高にクールな銃撃戦に目を奪われてしまった。
圧倒的火力でモンスター達をバタバタと薙ぎ倒していく主人公!マズルフラッシュが輝き、ド派手な爆発が巻き起こる!こうした痛快なアクションに目が行くせいか、グロ演出がさほど気にならない。
開発者インタビューによると、スプラッター映画のような "生々しいグロ演出" ではなく、B級アクション映画のような "軽快なグロ演出" を目指したらしい。大衆的な視点で見ても、不快感が少ないよう調整されているのだ。
ストラットン氏:
id Software内では「ポップコーン・ホラー」「オーバー・ザ・トップ」などと呼んでいるのですが,「グロい」というより「コミカル」に感じられるような過剰表現のあるハリウッド映画のノリを目指しました。本来,バイオレンス表現に対する抵抗感は人それぞれ異なりますが,映画館でアクション映画のキルシーンを見ていて,「ドッ」と沸くような感覚をGlory Killで表現したかったのです。
つまり『DOOM』のグロ表現は、あくまでバトルの爽快感を高めるための手段に過ぎない。
『仮面ライダー』『スーパー戦隊』などで、ヒーローに負けた怪人が爆発して退場するが、感覚的にはアレに近い。過剰な撃破演出のおかげで、敵を倒したときの快感がアップしているのだ。
そんな感じで、唯一の懸念だった「グロ表現」についても、自分の許容範囲内と判明。サマーセールで値段が安かったのも追い風となり、安心して『DOOM』を購入&プレイする運びとなったのだった。
まさか自分が、R-18Gのゲームにハマる日が来るとは。
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デーモン軍団をぶちのめせ!怒りのゲームスタート!
様々なゲームモードが楽しめる『DOOM』だが、今回の記事では、1人用モード「キャンペーン」に焦点を当てたい。荒廃したUAC基地を舞台に、デーモン軍団を残らずブッ殺す!という、本作の醍醐味とも言えるメインモードだ。
ゲームの幕開けは、なかなか壮絶。主人公が目を覚ますと、謎の祭壇に縛り付けられていて、身動きが取れない。しかも、何故か全裸姿でだ。
さらにそこへ、モーニングコールと言わんばかりにデーモン達が襲来! 開始早々、絶体絶命の大ピンチ!
鎖を破壊して自由になった主人公は、デーモンの頭蓋を力任せに叩き割り、その辺に落ちていたピストルを拾い上げ、残りの連中に銃弾をブチ込むのだった。
ひとまず危機は去ったものの…あたり一面は血の海である。どうしてこうなった。
その後 主人公は、成り行きでハイテク装備「プラエトルスーツ」や、強力な銃火器を入手。今ここで何が起きているか理解する暇もなく、凶暴なデーモン軍団との死闘に身を投じることになるのだ。自分の知りうる限り、クソ最悪なゲームスタートである。
思い起こせば『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』も、似たようなシチュエーションで物語が始まる。だが…どう考えても『ゼルダ』の方が圧倒的にマシだろう。
巨悪との戦いに敗れ、100年間眠り続けていた伝説の勇者「リンク」は、清純なお姫様の声に呼応して、長き眠りから目覚める。この時点では一切の記憶を失い、自分が何者なのかすらも忘れてしまっていた。
だが、彼の素性を知る心優しき人々の導きで、次第に自分の使命を思い出し、ハイラルを救う冒険の旅が始まる。
どこまでも続く雄大な景色を目にして、胸が高鳴ったプレイヤーは多いだろう。爽やかで希望に満ちたゲームスタートだ。
それに引き換え『DOOM』の世界観はどうだろうか。あまりにも凄惨で、殺伐とし過ぎている。
眼下には荒廃した大地が広がり、辺りには死体や肉片が転がっていて、血に飢えたデーモン共が跋扈している。まさに地獄絵図だ。
生存者はゼロに等しく、可憐なお姫様は言わずもがな。心優しい協力者など1人もいない。頼りになるのは手元のショットガンだけだ。
ゲームを進めると、どうやらココは「UAC」とかいう胡散臭い企業の火星基地らしく、エネルギー生産事業や、様々な研究開発が行われていた…という事実が判明する。関係者のいざこざが原因で、地獄 (と呼ばれる異次元世界) で捕獲したデーモン達が暴走。人類は為す術なく蹂躙され、UAC基地は壊滅したのだ。
この惨禍を生き延びた「サミュエル・ハイデン」なるロボット博士は、デーモンに対抗しうる唯一の存在である主人公に対して、共に事件の黒幕を倒し、被害の拡大を食い止めよう!と協力を仰いでくるのだった。
…そんなこと、俺が知ったこっちゃない。
こちとら封印されてグッスリ眠っていたのに、テメェの都合で叩き起こされた挙句、化け物との血みどろの戦闘に、否応なしに巻き込まれているんだ。どうして俺が、貴様らの後始末をつけねばならんのだ?
ロボット博士は "人類の進歩のため" だの、"至高のエネルギー" がどうの…とほざいているが、耳を貸す必要はない。
我々がやるべきことは、ただ一つ。デーモン共を皆殺しにして、UAC基地も事件の黒幕も、全部まとめてブッ潰すことだ。
胸に込み上げる激しい怒り、溢れんばかりの憎悪を、目の前の敵にぶつけてやれ。癇に障るモニターを叩き壊し、貴重なエネルギー装置を "あえて" 粉砕してやるのだ。ざまあみろ!
このゲームの物語は、悪を滅して世界を救う!といった、優等生じみた英雄譚ではない。クソッタレな不条理に全力で反逆を試みる復讐劇だ。
優しさはかなぐり捨てろ。怒りの炎を燃やせ。そうすることで、我々はこのドラマを最大限に楽しむことができるのだ!
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殺られる前に殺れ!血沸き肉躍るハイスピードバトル
自分が『DOOM』を遊んで真っ先に感じたのは、戦闘のスピード感がヤバイ!!ということだった。
主人公・敵キャラの動作が全体的に俊敏なので、レースゲームみたいな速度で風景がビュンビュンと流れ、戦況が目まぐるしく変化していく。初見プレイ時には、あまりのスピードに面食らった。
一般的なFPSゲームでは、身を潜めてチャンスを伺い、油断した敵を狙い撃ち!隙を見て体力回復・弾薬をリロード、次の敵襲に備える…といった具合に、地味ながらも堅実な "ヒット&アウェイ" 戦法が安定するかと思う。『メトロイドプライム』もそんな感じだった。
…だが『DOOM』の戦闘は、他のFPSゲームと勝手が違う。
残忍で狡猾なデーモンは、主人公の姿を見るやいなや、群れを成して一斉に襲い掛かってくる!一対一なら何とかなる相手でも、徒党を組んで四方八方から攻撃されては、厄介極まりない。まさに多勢に無勢だ。
物陰に隠れたり、高い場所に避難しても無駄だ。デーモンはどこまでも追いかけてきて、執拗かつ的確に追撃を仕掛けてくる。右往左往していると瞬く間に取り囲まれ、集中砲火を浴びて即死。"ヒット&アウェイ" とか言ってる場合ではない。
このクソッタレな地獄を生き抜くための戦略は、ただ一つ。"ラン&キル" だ。
勇猛果敢に敵陣へ飛び込み、戦場を縦横無尽に駆け抜けて、すれ違いざまに敵をブッ倒すのだ。
立ち止まることは死を意味する。高い機動力をフル活用して、フィールドを一心不乱に走り続けよう。
この疾走感溢れるハイスピードバトルは、慣れるまでが大変だったが…要領を掴めるとメチャクチャ楽しい。軽やかに死線をくぐり抜け、テンポよく無双できたときの爽快感といったらない。本作ならではの戦闘スタイルと言える。
武器のバリエーションも豊富だ。1人用モードの「キャンペーン」では、ストーリー進行に合わせて携行武器が増える。汎用性の高い「ショットガン」や、破壊力バツグンの「ロケットランチャー」など、全8種類 (+α) の銃火器が使用可能だ。
さらに、各武器には「武器MOD」と呼ばれる拡張機能が存在。戦闘で得られるポイントを消費して、武器の性能をグレードアップ。デーモンを倒せば倒すほど、武器の殺傷能力が高められる。
臨機応変なMOD選択によって、戦局は大きく左右される。敵をスタンさせて行動不能にしたり、チャージ弾で大勢の敵を一網打尽にすれば、戦闘がグッと楽になるのだ。多彩な武器を使いこなし、デーモン共に "本当の地獄" を味あわせてやろう。
ただし、あまりに無鉄砲なプレイングは禁物。考えなしに前に出過ぎると、敵の猛攻を受けてライフがみるみる削られ、力尽きて倒れてしまう。デーモンに貪り食われる結末など、あってはならない。
そこで活用したいのが、近接格闘「グローリーキル」だ。
デーモンに瀕死の重傷を負わせると、全身が青白く光り、ふらついた状態になる。すかさず接近して殴りつけると、敵にトドメの一撃を繰り出すことが可能。さらに不思議なことに、グローリーキルに成功すると回復アイテムがドロップする。
つまり、デーモンは敵であると同時に、大事な回復手段でもあるのだ。
医療キットなんて必要ない。敵の首をへし折り、四肢を引き裂き、その返り血を全身に浴びて命を繋ぐのだ。慣れてくると、こうした暴力的な命のやり取りに、次第に快感を覚え始めるハズ。
弾薬が底を尽き始めても、怖気づいてはならない。そういう時には「チェーンソー」を取り出し、憎きデーモンを真っ二つにしてやろう。これまた原理が謎だが、敵をぶった切るついでに大量の銃弾が補給できる。
デーモン軍団の中には、耐久力の高いタフな野郎や、シールドで身を守る卑怯者がゴマンといる。だが、どんなに堅い装甲で身を固めようが、チェーンソーの前では無力。あらゆる敵を一撃で葬り去れる最終兵器なのだ。燃費悪いけど。
…こんな感じで『DOOM』の戦闘は、"走って撃つ" というFPSゲームの基本要素を、ダイナミックに昇華させることに成功している。
敵の弱点を突き、地の利を活かして立ち回れば、効率よく敵を倒すことも可能だ。しかし、小難しく考える必要はない。弾薬が続く限り、目の前の敵に銃弾をブチ込むことだけ考えよう。デーモン共を叩きのめすのだ!
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広大なマップを探索!シークレットを探し出せ!
「キャンペーン」モードでは、様々なステージを順番に攻略していくのだが…各ステージのマップは目を疑うほどに広い。迷路のように入り組んだ部屋や、高低差の激しい地形が組み合わさって、広大なマップを形成している。
ゲーム進行に合わせて、マップ構造はどんどん複雑化。ゲートを開く鍵を探し出し、ワープゾーン・スイッチなどの設備を利用して、自らの手で道を切り開いていく。『ゼルダの伝説』や『メトロイド』を思わせる探索性。
元々『DOOM』シリーズは、3D空間の迷路をくまなく歩き、仕掛けを解いて突破口を開く…といった「探索アドベンチャー」としての側面も持ち合わせていた。リブート作品の本作でも、お馴染みの探索性がしっかり踏襲されているのだ。
中には、昇降リフトをジャンプで渡って最上階を目指すような、FPSゲームらしからぬアクション性が要求されるアスレチック面も。立体感覚がビシバシ鍛えられるぞ。
さらに、マップ上には「シークレット」と呼ばれる隠し要素が存在。普通に進むと見過ごしそうな場所に、様々な要素・アイテムが巧妙に隠されているのだ。
まるで『メトロイド』のような隠し要素の数々に、 メトロイダーの自分は否応なしに血が騒いだ。探索はいいぞ…楽しいぞ…
まず、積極的に回収すべきは、主人公を強化するパワーアップアイテム。
体力・弾薬などの最大値を増やす「アージャントセル」や、スーツの基本性能を強化する「プラエトルスーツトークン」などを集めれば、ゲーム攻略がグッと楽になる。
装備アイテム「ルーン」も重要だ。スロットに装填することで、パッシブスキルが発動。特殊効果によって、バトルを有利に進められる!という優れモノ。
ただし、ルーンを入手するには「ルーントライアル」をクリアする必要がある。ショットガンしか使えない!敵を倒して数秒間しか動けない!…といった制限の中で、特定の目標達成を目指すミニゲームだ。コレがまた絶妙な難易度で、クリアした時の達成感が凄まじい。
ゲーム攻略には関係無い、豊富なコレクション要素にも注目したい。
例えば「コーデックス」という収集要素がある。UAC火星基地で起きた事件の記録や、敵クリーチャーの生態データなどを読み解くことが可能だ。『メトロイドプライム』のログブックを髣髴とさせる内容。
劇中であまり語られない『DOOM』のストーリー・世界観は、このコーデックスを読むことで補完できる。意外と内容が凝っていて面白いので、ゲームの合間に読み進めることを推奨したい。
数あるシークレットの中でも「クラシックマップ」は、特に発見が難しい。
各ステージの「レバースイッチ」を起動すると、昔懐かしい『DOOM』『DOOM Ⅱ』復刻ステージが解禁される!…という楽しい収集要素だ。低解像度テクスチャを徹底再現したマップからは、開発陣の熱いリスペクト魂が感じられる。
このレバースイッチ、部屋の片隅や物陰など、人目につかない場所にひっそり配置されている。発見がメチャクチャ困難なので、余裕があれば探したいところ。
シークレットの発見は、全てステータス強化に直結する。パワーアップアイテムの取得は勿論、攻略に関係のないコレクション要素に関しても、その発見数に応じて、武器強化のポイントが獲得できるのだ。
つまり、マップを隅々まで探索するほど、武器の殺傷能力が高まり、より多くのデーモンを殺戮できる…というワケ。探して損は無いので、コンプリートを目指そう。
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最高にクールでカッコイイ劇中BGM
『DOOM (2016)』の魅力を語る上で、最高に痺れる超カッコイイBGMの存在は欠かせない。オーストラリアの作曲家、Mick Gordon氏が手掛けた数多くの名曲が、ゲームの没入感を最大限に高めてくれる。
施設内を探索するときなど、通常シーケンスで流れるBGMは比較的静かで、不穏な空気を醸し出している。あちこちで聴こえるデーモン達の呻き声が恐怖心を駆り立て、前に進むことを躊躇させる。『バイオハザード』感。
だが、大量のデーモンが出現して、戦闘シーンに突入すると曲調が一変。どこからともなくヘビィメタル調のBGMが流れ出し、たちまち場の空気を制圧。さっきの静寂はどこへやら。ギターが唸りを上げ、ベースの重低音が脳を揺さぶるのだ!
BGMの盛り上がりが最高潮に達したとき、プレイヤーは闘争本能を刺激され、興奮のるつぼに叩き込まれる。至高のBGMがプレイヤーの戦意を奮い立たせ、さながら死神のように、デーモン軍団との対決に誘うのだ!死にたくなければ戦え!
この "静" から "動" に移り変わるシームレスなBGM構成が本当に秀逸。プレイヤーは荒涼殺伐とした『DOOM』の世界に、一気に引き込まれてしまうのだ。海外のゲーム表彰式典「The Game Awards 2016」で、本作が Best Music/Sound Design部門にノミネートされているのも、頷けるというもの。
さらに『DOOM』の一部楽曲には、ユニークな仕掛けが施されている。
例えば、ゲーム冒頭で流れる「At DOOM's Gate」という曲。主人公のデーモンに対する底知れぬ怒りが伝わってくる、本作を象徴する至高のメインテーマだ。
曲に合わせて『DOOM』のタイトルロゴが画面にドーン!と出てきた瞬間、自分はあまりの格好良さに叫びそうになった。曲の圧が凄まじい。
実はこの曲、初代『DOOM』第1ステージのアレンジ曲。原曲を大胆にアレンジして、スローテンポの曲調に刷新していたのだ。
音楽の素養がない自分は全然気づかなかったが、両者を聴き比べてみると…確かに!特徴的なメインフレーズが!じわじわ聴こえてくる!!
そう。にわかオタクな自分は「カッコイイ導入だな…」と感動した程度だったが、シリーズをよく知るファンには「俺達の『DOOM』が帰って来た!」と伝説の再来を予感させる、一粒で二度おいしい二層構造のBGMだったのだ。こりゃスゴイ。
最初のボス戦で流れる「Cyberdemon」という楽曲にも注目したい。歴代シリーズでもお馴染みの強敵「サイバーデーモン」との死闘を、大いに盛り上げる戦闘BGMだ。
驚くべきことに、この楽曲のイントロには "視覚的な" 隠し要素が組み込まれている。
曲の主旋律をスペクトログラムで解析すると、星マークを反転した「逆五芒星」と、数列の「666」が、繰り返し浮かび上がってくるのだ。
逆五芒星は、古くから西洋に伝わる "悪魔の象徴"で、666の数字は「ヨハネの黙示録」に示された、災いをもたらす "獣の数字"。つまり…この曲のイントロは、悪魔のボスに相応しい超不吉なメロディを奏でていたのだ。
こうした隠し要素を盛り込みつつも、自然に聴こえる楽曲としてキッチリ成立させる、作曲者の手腕はスゴイ。流石プロ!としか言いようがない。
そんな感じでクソ最高な『DOOM』の楽曲だが、Bethesdaの公式Youtube動画で全曲を試聴可能。興味を持った人は是非聴いてみて欲しい。サウンドトラックも絶賛発売中だ。
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混沌とした現代社会における癒し…それが『DOOM』
ネット上の感想・レビューを読むと "『DOOM』は癒し" とかいう意味不明なパワーワードが散見される。
「バイオレンス表現満載なグロゲーの、一体どこに癒し要素があるんだよ!」と疑問を呈する声は多いだろう。だが、自分もこの不可思議な意見には全力で賛同したい。
我々が日々を過ごす現実世界は、常に混沌の渦中にある。地球上に生きる人々は、思考から行動に至るまで、すべてが千差万別だ。その結果、我々は煩雑な人間関係に悩まされ、不満やストレスを抱えながら日常生活を送っている。
学生として勉学に励んだり、社会人として労働に勤しんでいると、ストレスを感じる場面が必ずあるハズだ。仲間内で揉めて事が進まなかったり、理想と現実の差に打ちひしがれたり。謂れのない理不尽な目に遭うことだって、あるかもしれない。
そうやって神経を擦り減らすうちに、ふと気づけば「自分は誰かに必要とされているのか?」「どうして自分は生きているんだろう…」と、自分の存在意義を見失ってしまうことも、多々あるんじゃないかと思う。
だが『DOOM』の世界観は、そんな複雑怪奇な現実世界とは正反対だ。
自分以外の味方はゼロ!周りにいるのは全員敵!相手は強大だが、それを殲滅できる圧倒的な力が、お前の手中にある!死にたくなければ、とにかく敵を撃て!!
ひたすらに野蛮で暴力的なゲームだが…その根底にあるルールは現実と違い、至ってシンプルだ。
そんなシンプルな世界で、スリルと戦略性に富んだ "殺るか殺られるか" の銃撃戦を続けるうちに、プレイヤーは次第に、今 自分が "生きている" ということを、強く実感するようになる。
迫り来る敵を次々と薙ぎ倒し、自分が生きる意味、すなわち存在意義を取り戻す。このサイクルに一種の安らぎ・癒しを覚える人が少なからず存在するのだ。今の自分には、その感覚が何となく理解できる。"『DOOM』は癒し" なのだ。
…長くなってしまったが、要は「最高のストレス解消ゲー」ということ。圧倒的な火力で敵を倒していく爽快感は、何ものにも代え難い魅力がある。社会の荒波に揉まれ、疲れ切った諸兄には強くオススメしたい。
ゲーム難易度はそこそこ高めに感じたが、途中で難易度変更が可能だったりと、救済措置が多いので安心だ。見た目に反して手堅い作りで、根気さえあれば必ずクリアできる。
ゲーム下手な自分は「手加減無用 (ノーマル相当)」で最後までプレイしたが…丁度イイ塩梅に感じられた。プレイ時間は25時間くらい。FPSゲームを遊んだ経験があれば問題無いかと思う。みんなも遊ぼう(布教)
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グロ苦手な人にはSwitch版がオススメ
『DOOM (2016)』は、様々なゲームハードに対応している。ただし、自分が遊んだSwitch版ソフトだけは、他機種版と比べて変更点が多いので要注意だ。
まず、Switch版は解像度・フレームレートが、他機種版と比べて若干劣っている。
通常 は [1080p/60fps] で動作するところ、Switch版だけは [720p/30fps] となっている。ゲーム自体に支障は無いが、動的な解像度スケーリングによって、映像が少しぼやけて見える時があるのだ。
2018年2月のアップデートで、Switch版ソフトの解像度・フレームレートが大幅に改善されたものの…依然としてグラフィック描画には格差が感じられる。
ただ、この仕様は自分にとっては好都合だった。映像のぼやけが「モザイク」の役割を果たし、グロシーンの刺激を和らげてくれたのだ。まさに怪我の功名。画質や解像度にコダワリが無く、グロ表現が苦手な人にはSwitch版がオススメ。
あとSwitch版には、マップを自分で作成できるエディットモード「スナップマップ」が未実装。今後のアップデートで追加される予定もないらしい。ちょっと残念。
デメリットを先に説明したが、Switch版『DOOM』にも良い点は沢山ある。
最大のメリットとしては、携帯モードで持ち運びが可能な点が挙げられる。出先で遊んだり、ソファに寝転がって遊んだりと、場所を選ばずゲームを楽しめる。他機種版にはない強みだ。
また、加速度センサーを使った直感的な操作が可能なのも、Switch版ならではの要素。『Splatoon2』のようにジャイロ操作で視点を動かせるのだが、コレが超快適で遊びやすい。オプション画面から設定できる。
気になるお値段は、Switch版が5000円~7000円、他機種版が3000円弱といったところ。旧作ゲームなので、セール期間には半額以下で販売されることも多い。セールを狙うか、中古ソフトの購入がオススメだ。
現在、本作の続編タイトル『DOOM Eternal』が好評発売中。
前作以上に刺激的なバトルが楽しめる反面、ゲーム難易度はハチャメチャに上がっているらしい。ゲーム下手な自分は、購入しようか迷っている状況。Switch版が出たら買おうかなぁ。