前回、Joy-Conを左手デバイス (イラスト制作支援ツール) に設定する方法を紹介した。多くの人に記事を読んで貰っているらしい。嬉しいね。
だが、この記事を上げてから数週間後。Twitterでこんなツイートを見かけた。無線ゲームパッド「8BitDo Zero 2」を左手デバイスにできる!という話だ。
iPad片手デバイスとして便利と噂の8BitDo zero2を誕プレでいただいたので設定してみたけど、これめっちゃいいっすよ!!なんといってもちっちゃくてかわいい! pic.twitter.com/0I4hD5qjGY
— リュ-セイ (@d_RYUSEI_b) 2020年1月21日
調べてみると、超安価なゲームパッドで、iPad版「CLIP STUDIO (クリスタ)」との相性が抜群に良いデバイスなのだとか。携帯性・利便性が高く、iPadユーザーに好評らしい。
自分は既にこの手のツールは間に合っていたので、当時は「こんな方法もあるんだなぁ~」と感動した程度で、大して気に留めていなかった。
だが…やっぱ使い心地が気になったので、思い切って「8BitDo Zero 2」を購入してみたのだった。安かったし。
可愛いコントローラー買った pic.twitter.com/0rN70oG7qN
— わたりどりぃ (@Wata_Ridley) 2020年10月19日
実は…前回紹介したJoy-Con左手デバイスは、iPadでは設定できない。
Joy-Conの仕様上、 iOS端末 (iPad/iPhone) ではデバイス認識されず、ワイヤレス接続できないのだ。iPadユーザーは、他のツールを検討する必要がある。
そこで候補として挙がるのが、この「8BitDo Zero 2」というワケ。対応機種が幅広く、iPadでも難なく使えるのが強みだ。実機で動作確認してみたので、備忘録として記事に残しておきたい。
※余談だが…自分が実際に触ってみて「良いな!」と感じた、コスパ最強・良質な左手デバイス紹介記事も公開中。あわせて参考にして欲しい。
「8BitDo Zero 2」レビュー
まず最初に「8BitDo Zero 2」の製品レビューから入ろう。
『スーパーファミコン』を彷彿とさせる、レトロな雰囲気のゲームパッドだ。本体カラーは ブルー/イエロー/ピンク から選択可能。自分はブルーにした。
手に取った第一印象だが…とにかくサイズが小さい!!
寸法 [約3.5cm × 7.5cm] という超コンパクトサイズで、文房具店で売ってる「MONO 消しゴム (特大サイズ)」と同程度の大きさ。軽くて持ち運びやすく、手の中にスッポリと収まる。筆箱に入れて持ち歩く…なんてことも可能だ。
手持ちの「Joy-Con」と比較してみると、そのコンパクトさが際立つ。結構小さいので、手が大きめの人は操作しづらいかも。自分は大丈夫だったが。
海外製の安物コントローラーだが、想像以上にしっかりとした作りで、廉価商品にありがちな "安っぽさ" は全然感じられない。ボタンを押した時の反応速度・クリック感は快適で、使い心地は良好。
対応OSが幅広く、Bluetooth接続がスムーズな点も、本製品のメリットだろう。
Bluetoothデバイスは機器同士の相性が悪く、接続に失敗するパターンが稀にある。だが、その点「8BitDo Zero 2」は心配いらない。Switchに繋いで遊んだりもできる。
対応機種・OSは以下の通り。コントローラー起動時に特定のボタン操作を行うことで、最適なモードでワイヤレス接続が可能だ。スマホ・Switchでゲームも遊べるぞ*1。
- Nintendo Switch
- Windows 10 (X-input)
- Android
- macOS
- iOS
※商品説明には「iOSは未対応」と書かれているが、自分のiPhone 6s (iOS: 14.0.1) で確認したところ、問題なく接続できた。コントローラー対応のiOSゲームもプレイ可能。
付属品はこんな感じ。小型の充電ケーブル (MicroUSB) と、ゴム製ストラップが同梱。取扱説明書も付いているが、英語/中国語のみ。日本語の説明書は入っていないが…困ることはまず無い。
上の写真のように、L・Rボタンの間に接続ポートがあり、そこにケーブルを繋いで充電する。1~2時間でフル充電が可能だ。
説明書によると、バッテリーの持続時間は約8時間。
他の無線コントローラーと比べると見劣りするスペックだが…ゲームを遊んだり、左手デバイスとして使う程度なら十分。電池残量が少なくなると赤色ランプが点滅するので、こまめな充電を心がけよう。
気になるお値段は 2000円弱。数ある無線コントローラーの中でも、かなり格安な方じゃないだろうか。品質も悪くないので、"安物買いの銭失い" にはならない。
ゲームに使えるだけでなく、イラスト制作の左手デバイスとしても活用できるので、汎用性・コスパが非常に高い。ゲーム好きなデジタル絵描きにオススメの逸品!と言えるだろう。
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左手デバイス化の設定手順
さて、ここからが本題。「8BitDo Zero 2」の左手デバイス化手順について説明していく。今回は「iPad/iPhone (iOS環境)」および「PC (Windows10環境)」での手順を紹介する。
だがその前に、重要な前提知識を2つ共有しておきたい。
注意事項
接続モードがいくつかある
先のレビューでも書いた通り「8BitDo Zero 2」には、いくつかの接続モードが用意されている。種類が多いのだが、雑にまとめると「ゲームパッドモード」と「キーボードモード」の2種類に大別できる。
本来の用途。PC・Switchなどのゲーム操作に使える。作業環境によっては、左手デバイス用の設定が可能 (Windowsなど)
その名の通り「8BitDo Zero 2」をキーボードとして利用できる。ボタンを押すと、対応する文字が入力できる。
何だか便利そうに聞こえるが…文字が完全に固定されていて変更不可。上の写真が対応文字のリストだ。
キーが固定なので、キーボードとしての実用性はゼロ。だが…iPadユーザーが左手デバイスとして設定するなら、このモードの方が都合が良い。詳細は後述する。
「8BitDo Zero」を左手デバイス化する際には、これら2種類の接続モードを使い分けることになる。使用目的・環境に応じて、最適な接続モードを使おう。
あと、今更な説明だが…作業環境 (iPad/PC など) がBluetooh対応でないと、ワイヤレス接続できない。そりゃそうか。
iPadを使っている人は、全機種Bluetooth対応なので問題ない。だが、PCの場合はBluetooth非対応の場合もあるので要注意。
※この辺の確認手順・対処法については、自分の過去記事を確認して欲しい。
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iPad勢は『CLIP STUDIO』でしか使えない!
これはiPadユーザーに対する注意喚起。
iOS版『CLIP STUDIO』では、今回の手順で確実に左手デバイス化が可能。しかし…他のイラストソフトでは上手く設定できないのだ。
例えば『Procreate』では、一部のボタンしか設定できず、ロクに使えない。イラストソフト側のショートカット設定が、完全に固定されているからだ。以下のnote記事が詳しい。
このため、本手順はiOS版『CLIP STUDIO』にしか適用できない!と考えて欲しい。他のペイントソフトでの動作保証はゼロ。ご承知おき願いたい。
…注意事項は以上である。こうした点を踏まえて、以下の設定方法を読み進めて欲しい。
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iPad/iPhone (iOS環境) の場合
iOS環境では「キーボードモード」で接続する。「ゲームパッドモード」で接続しても、左手デバイスとして利用できない。
※今回、自分はiPhoneで動作確認を行った。iPadの場合も、大体同じ手順になる。
Rボタン・startボタンの同時押しで、「8BitDo Zero 2」をキーボードモードで起動しよう。青色ランプが、ピコピコッと5回点滅する。
selectボタンを約3秒間長押しすると、青色ランプがチカチカ点滅して、Bluetooth接続の待機モードになる。
※うまくいかない場合は、startボタン長押しで電源を切り、手順①からやり直そう。
iPad/iPhone側で「設定」⇒「Bluetooth」と進み、Bluetooth機能をオン。しばらく待つと「8BitDo Zero 2」がデバイス認識されるので、項目をタップして接続しよう。
通信に成功すると、コントローラーの青色ランプが光ったままになる。上手くいかない場合は、リセットしてもう一度やり直そう。
ここまで来たら最終段階。イラストソフト側でショートカットキー設定を行う。
「8BitDo Zero 2」の各アルファベットキーに、ショートカット設定を割り振るのだ。以下の対応表を参考にして欲しい。
『CLIP STUDIO』のショートカットキー設定手順は、以下の過去記事を参照して欲しい。PC版 / iOS版 両方のケースを紹介してある。
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PC (Windows10環境) の場合
Windows10環境の場合は、「キーボードモード」「ゲームパッドモード」の、両方の接続モードで左手デバイス化が可能だ。どちらも一長一短…といったところ。
キーボードモードで接続する (非推奨)
「キーボードモード」で接続するなら、先に紹介したiOS環境の場合と、設定手順はほぼ同じ。
手順③の設定画面のUIが違う程度で、大まかな流れは一緒だ。Joy-Conをパソコンに接続する手順も参考にして欲しい。「Joy-Con」を「8BitDo Zero 2」に読み替えよう。
あと、後述の「ゲームパッドモード」と比べて、単純な操作しか導入できない点に注意。各ボタンに1つずつ、最大12個までしかキーを割り振れない。
そのため、Windowsユーザーは次に紹介する「ゲームパッドモード」での設定を視野に入れた方がイイと思う。
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ゲームパッドモードで接続する (推奨)
「ゲームパッドモード」で接続する場合は、無料ソフト「JoyToKey」でショートカット設定を割り振ることで、左手デバイス化が実現できる。
「キーボードモード」と比べて設定がダルいものの、ボタンの同時押しなど、柔軟なショトカ設定が可能なのだ。個人的にはこっちがオススメ。
まず、以前紹介した「JoyToKeyのダウンロード」手順を参考に「JoyToKey」を作業環境に導入しよう。
Xボタン・startボタンの同時押しで、コントローラーを「ゲームパッドモード (X-input)」で起動。Windows対応の接続モードで、青色ランプがピコピコッと2回光る。
※一応、他のモードでもBluetooth接続は可能だが、X-input形式で接続した方が都合が良い。
selectボタンを約3秒間長押しすると、青色ランプがチカチカ点滅して、Bluetooth接続の待機モードになる。
※うまくいかない場合は、startボタン長押しで電源を切り、手順②からやり直そう。
Windows側で「設定」(スタートの歯車マーク) >「デバイス」>「Bluetoothとその他のデバイス」と移動して、Bluetooth機能をオンにしよう。
「Bluetooth またはその他のデバイスを追加する」を押し、無線機器をサーチすると「8BitDo Zero 2」がリストに上がってくる。項目をクリックして接続すれば、上のスクショ画面のように、正常にデバイス認識されるハズだ。
Bluetooth接続に成功すると、コントローラーの青色ランプが光ったままになる。上手くいかない場合は、リセットしてもう一度やり直そう。
ゲームのコントローラーを左手デバイス化する場合は、先にDLした「JoyToKey」を使って、キーコンフィグを行う。かなり柔軟な設定が可能で、ボタン同時押しなどの複雑な操作も実現できる。
この辺の詳細は、前回紹介したJoy-Con左手デバイスの「ショートカットキーの割り当て」手順を参照して欲しい。全体の流れは全く同じだ。「Joy-Con」を「8BitDo Zero 2」に読み替えて、設定手順を進めよう。
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「8BitDo Zero 2」活用術
作業再開時のノウハウ
「8BitDo Zero」は省エネ的設計で、Bluetoothe接続が途切れるか、何もせず15分以上放置していると、自動的にスリープ状態になる。電池が切れたワケではないので安心しよう。
作業再開時には、startボタンを長押しすればOK。クイックペアリングで再接続が行われ、スムーズに作業が再開できる。
ちなみに…iPadでは「8BitDo Zero 2」を接続している間、キーボード入力が使えない。iPadで漫画を描く人にとっては、地味に困る問題だ。
この対処法については、以下のツイート内容を参考にして欲しい。
これを繋いでると文字入れの時にソフトウェアキーボードで文字が打てない!って話もちらほら見かけたんですが、文字入力ツール選んだ時に画面下に出るバーの一番右のマークを長押しすればキーボードがニュッと出てきますよ!外部キーボードを接続してるならそのまま使えます💪 pic.twitter.com/5NVNHvFJLY
— リュ-セイ (@d_RYUSEI_b) 2020年1月22日
また、startボタンを長押して、コントローラーの電源を一旦切ることでも回避できる。もう一度startボタンを押せば、スムーズに再接続が可能なのだ。好みで選択しよう。
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ファームウェアの更新
「8BitDo Zero 2」の初期生産品を購入した場合…ファームウェアが古いせいで、Bluetooth接続が上手くいかない!という不具合が稀にあるらしい。
対処法はカンタン。最新版ファームウェアをDLして、コントローラーに導入すればOK。公式サイトから専用DLアプリを入手しよう。
R + L + start ボタンを同時押しで、コントローラーを「アップデートモード」にする。その後 USBケーブルでPCに接続しよう。アプリを経由して、最新のファームウェアがインストールされる。コレで万事解決だ。
メルカリで中古品を購入した場合等に、こうした現象が起こりうる。滅多に発生しないレアケースなのだが…念のために記載しておく。
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最後に
以上、左手デバイスにも使える「8BitDo Zero 2」の紹介記事でした。
コンパクト仕様の無線コントローラーで、汎用性が高くコスパも良い。これからデジタル絵を描こう!と考えている人は、購入して損はないと思う。選択肢の1つとして検討して欲しい。
かくいう自分は「8BitDo Zero 2」はサブツールとして置いておき、今後もJoy-Con左手デバイスを利用するつもり。操作感が自分に合ってるし、1年以上使っているので愛着もあるのだ。
そのため…自分は今後「8BitDo Zero 2」を、純粋なゲーム用コントローラーとして活用するつもり。
PCゲーム、iOS版アプリなど、様々なハードで概ね問題なく使えている。やはり…対応OSが幅広いのは強い。今後も色々な用途で重宝しそう。
他に「8BitDo Zero 2」の良い活用方法が思いついたら、当ブログで共有したいと思う。いずれまた。
*1:ただし、本格的なゲームには使えないので注意。試しにiOS版『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』を8bitDo で遊んでみたのだが…ボタン数が少ないせいで一部アクションが使えず、途中で断念した。ファミコンのゲームとかなら大丈夫だろう。